研究

棘皮動物ウニ綱の分類学的研究

棘皮動物ウニ綱(Echinodermata:Echinoidea)は世界で1000種程度が知られる分類群です (Kroh & Mooi, 2020)。日本近海はそのうち170種程度が生息しており、世界的にみてもウニの多様性がかなり高い海域であることが伺えます。

ウニ類は比較的大型の種が多く、かつ硬い骨格を持つことから標本として残されやすい動物です。その形態的多様性は分類・進化・古生物などの分野の多くの研究者を虜にし、近年までの膨大な研究が蓄積されてきました。その結果、ウニ類の多様性は全海産無脊椎動物の中でも大幅に解明され、全体像がおおよそ見えてきている状況にあります(新科や新属といった話題は、近年となってはウニではなかなか目にするものでは有りません)。

そのような状況において、私は従来の研究手法では手を出すことが困難であった殻径1 cm以下の微小種や、深海性種にスコープを当てることで、さらなる未記載種の存在や、新たな分類学的知見が数多く残されていることを明らかにしてきました。現在は走査型電子顕微鏡による詳細な形態形質比較や、遺伝的解析を活用することで、未記載種の記載や分類学的課題の解決に取り組み、日本近海産ウニ綱の真の多様性の解明を目指しています。

Kroh, A. & Mooi, R. (2020). World Echinoidea Database. Accessed at http://www.marinespecies.org/echinoidea on 2020-05-09. doi:10.14284/355

東大総合博物館重井コレクションの整理

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